IPOで失敗しない売り方ってあるの?初値売りがベストな理由と売らない時の条件とは

IPOとはある企業が資金調達のために、オーナーやその家族といった特定の株主が保有し、流通していない状態の株式を、不特定多数の投資家に発行株式を公開することを言います。日本語では新規公開株を意味する言葉です。

IPOは普通の株取引とは異なる部分が多くあるので、きちんとIPOの特徴を理解しておかなければなりません。

この記事では、IPOについてわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、IPOの全体像が理解できるようになります。

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

IPOの売り方の前に知っておきたい基本事項

まずはIPOの売り方についてわかりやすく解説していきましょう。

IPOとは

IPOとはInitial Public Offeringの略で、「新規公開株」を意味する言葉です。IPOは証券会社経由で応募し、抽選に当たれば購入することができます。

IPOはどの証券会社から応募するかによっても当選確率が変わってくるので、きちんとこの点を理解しておくことが大切です。

IPOを売るまでの流れとは

IPOでは、まずは新規上場する銘柄の希望の株価・株数を申告します。これはブックビルディング方式(需要積上げ方式)により公募価格が決められるからです。その後、上場する会社が投資家の希望株価・株数を調査し、需要をもとに公募価格が算出されます。

IPOに当選すると該当のIPO株を自動的に購入することになります。ここでIPOの購入はキャンセルできないので注意が必要です。

IPOの売り方は非常にシンプルです。上場日の「寄付(よりつき)」で「成行」注文を出してくだけで簡単に売ることができます。短期で儲けたいならIPOは初値で売るのが基本となります。成行とは、売値を指定せず市場の値段に任せる方法で、初値が決まる前に発注しておけば、上場1日目に初値が決まった時に確実に売ることが可能です。

新規上場銘柄で人気が殺到した場合、上場日に初値が決まらず、次の日、また次の日と持ち 越しになることがあります。その場合は注文が失効しますので、再度注文しなければなりません。

初値が決まるまでは成行が禁止されるので、改めて値段を指定して出す指値(さしね)注文で手続きをし直す必要があります。

売り注文の受付開始時間

証券会社により異なりますが、早いところで上場日の前営業日の夜~が売り注文の受付開始時間となります。以下では証券会社ごとの受付開始時間を図で示しておきます。

初値売りの注文受付開始時間

マネックス証券 上場日前営業日の17時頃から
SMBC日興証券 上場日当日の午前5時頃から
SBI証券 上場日当日の午前4時頃から
大和証券 上場日当日の午前6時頃から
カブドットコム証券 上場日前営業日の16時から
楽天証券 上場日前営業日の17時15分から
松井証券 上場日前営業日の17時から

IPOの売り方:売るタイミングとは

以下では、IPOを売るタイミングについて解説していきましょう。

IPOを初値で売る:理由やメリットとは

IPOの場合、上場日に初値がついた時点で株を売却するのが最も基本的な売りのタイミングとなります。近年のIPO市場では直近1間年で上場した企業のうち8~9割の銘柄が公募価格よりも初値が高くついているからです。

初値が公募価格よりも上回れば、利益を出せるのがIPOの特徴なので、このタイミングがIPOで最も利益を出しやすいタイミングとなります。上場して初値がついてすぐの間は、短期で利益を上げようとする投機資金が入り乱れるため、値動きが激しくなりがちです。

パソコンの前を数分離れているだけで値段が数%動くということもざらにあります。パソコンに張り付き、さらにそういった値動きの中でうまく高値で売却することが難しくなるので注意が必要です。

IPOを初値で売る:注文方法とは

IPOの注文では、上場日の「寄付(よりつき)」で「成行」注文が基本的な売りの注文方法となります。IPOは上場後、株価がどうなるのか、方向感を見極めるのはかなり難しいのが現実です。

そのため、IPOは上場日の寄付のタイミングですぐに売りに出してしまうのがセオリーとなります。注文方法は指値よりも成行の方が確実です。なぜなら、指値ではその価格で確実に売りに出せるかどうかがわからないからです。成行なら、その時の最も高い価格で素早く売りに出すことが可能となります。

ただし、上場日に初値が決まら無い場合もあります。その場合、成行で注文することはできなくなるので、指値注文で手続きをし直す必要があります。

IPOを初値で売らない:理由や条件とは

IPOは上場後株価の流れが全くわかりません。大きく値を上げる可能性もありますが、値を下げる可能性もあります。そのため、IPOは値を付けた段階ですぐに売ることがセオリーとなるのです。

しかし、IPOを初値で売らない方がいい場合もあります。その条件とは、初値が形成されたあとにさらなる株価上昇時に売れる場合です。初値で思ったほど高値がつかなかった場合には、その後株価が上がる可能性があります。株価が上がるにもかかわらず、IPOを初値で売ってしまうと損をしてしまいます。

そのため、その場合だけIPOを初値で売らないようにすることが大切です。

IPOを初値で売らない:売り方

IPOを初値で売らない場合には、IPO株をしばらく保有してから売ることになります。しばらくしてから売るタイミングとしては、株価が下向きのトレンドになってからです。一度株価が下向きのトレンドになったら、すぐに売り注文を出すようにします。

他にも、IPO投資で「セカンダリー投資」をすることも可能です。セカンダリー投資とはセカンダリー投資の特徴の一つが大きなボラリティとなっています。IPOは上場に非常に株価の動きが激しく、ストップ高やストップ安になることも多くあります。そのため、高いボラティリティを利用して大きな利益を上げることが可能です。

ただし、セカンダリ投資をするのには投資の経験や運が必要となるので注意が必要です。

IPOを初値で売らない:NISAで購入

IPOはNISA口座で購入することも可能です。将来有望なIPO銘柄なら上場後の株価にも期待できることでしょう。そんな場合には、NISA口座を活用するのがお得です。せっかくIPOを使って大きな利益を獲得できたとしても、その利益に対しては税金がかかります。

しかし、NISA口座で得た利益については、一定の範囲内であれば利益に対して税金がかかりません。そのため、NISAをうまく活用してIPOを長期保有した後にうまく売ることができれば、税金を気にせずに売り注文を出すことができるのです。

IPOの売り方:おすすめの証券会社とは

IPOに応募するためには証券会社を通さなければなりません。証券会社ごとに当選の可能性も変わってくるのでどこの証券会社からIPOに応募するかをきちんと考えておきましょう。

売買手数料について

IPO投資では売却時のみ、売買手数料が発生します。IPO投資においては、購入時には手数料がかからないのが特徴です。そのため、IPOの抽選に参加する際の必要資金は申込価格×申込株数となります。

売却の際の手数料については、各証券会社によって異なるので、できるだけ安くIPO投資を売却したいと考えている場合には、各証券会社の手数料を比較するようにして下さい。IPO取り扱い数、口座開設数、IPO抽選方法なども異なります。

以下では、証券会社の売買手数料についてわかりやすく表にまとめて解説します。

証券会社の売買手数料比較

まずは証券会社ごとの売買手数料について比較していきましょう。

証券会社 10万円 20万円 30万円 50万円 100万円 150万円 300万円
むさし証券 75円 95円 175円 175円 320円 380円 440円
ライブスター 80円 97円 180円 180円 340円 400円 600円
GMOクリック証券 88円 98円 241円 241円 436円 528円 834円
SBI証券 90円 105円 250円 250円 487円 582円 921円
楽天証券 90円 105円 250円 250円 487円 582円 921円
カブドットコム 90円 180円 250円 250円 990円 1,440円 2,790円
岡三オンライン 99円 200円 350円 350円 600円 1,000円 1,500円
岩井コスモ証券 80円 160円 240円 400円 800円 1,600円 2,400円
SMBC日興証券 125円 180円 250円 400円 800円 1,500円 2,000円
マネックス証券 100円 180円 250円 450円 1,000円 1,500円 3,000円
野村証券 139円 300円 300円 477円 953円 1,905円 2,857円
松井証券 0円 300円 300円 500円 1,000円 2,000円 3,000円
エイチ・エス 134円 179円 339円 572円 1,000円 1,143円 1,715円
東洋証券 800円 800円 800円 800円 800円 850円 1,000円
みずほ証券 950円 950円 950円 1,575円 3,150円 4,350円 7,950円
大和証券 1,000円 1,000円 1,035円 1,725円 3,450円 4,769円 8,729円
三菱UFJMS 1,500円 1,500円 1,500円 1,950円 3,330円 4,515円 8,070円
東海東京証券 1,500円 1,500円 1,500円 1,725円 3,450円 4,725円 8,475円
岡三証券 1,800円 1,800円 1,800円 2,875円 5,750円 7,875円 14,250円

このように、証券会社によって大きく売買手数料は異なります。そのため、自分の投資スタイルに応じて証券会社を選ぶようにすることが大切です。

比較的IPOに力を入れている証券会社ほど、手数料が安くなっている傾向にあります。

実践!IPOの売り方まとめ

最後に、IPOの売り方についてまとめておきましょう。

実践!IPOの売り方:SMBC日興証券

SMBC日興証券でIPOを売る場合には、ログインして残高の確認を行います。残高の確認のところから売りたいと考えているIPOの売却ボタンを選択します。その後、注文内容を入力する画面となるので、売る株数や注文方法などを選択します。

実践!IPOの売り方:SBI証券

SBI証券で初値売りする場合には、ログインして「口座管理」をクリックします。初値売りをする場合には、上場日当日の初値がつく前に注文を入れておく必要があります。

口座管理画面から、初値売りをしたいIPOの「現売」をクリックします。その後、注文内容を入力する画面となるので、売る株数や注文方法などを選択します。

実践!IPOの売り方:大和証券

大和証券で初値売りする場合には、ログインして「残高/履歴」をクリックします。その中から保有証券一覧タブをクリックして、個別の取引画面を表示させます。

個別銘柄の取引画面で売付をクリックすると内容確認画面となるので、そこで注文内容を入力することでIPOを売ることができます。

実践!IPOの売り方:マネックス証券

マネックス証券で初値売りする場合には、まずはログインして画面上の『株式取引』にカーソルをのせ、【株式取引】欄の『残高照会・売り注文』をクリックします。その後、【株式取引】欄の『残高照会・売り注文』をクリックします。

【数量】欄に売りたい株数を入力し、【価格】欄は『成行』を選びます。確認画面ボタンをクリックして、取引内容を確認し、確定ボタンを押すと取引注文ができます。

IPOの売り方の関連用語とは

補足として、IPOの売り方の関連用語について解説していきます。

IPOの売り方の関連用語①「公募価格」

公募価格とは、募集価格と呼ばれることもあり、新規に証券市場や店頭市場に公開する株式が投資家に販売される価格のことを言います。

IPOの売り方の関連用語②「ブックビルディング」

ブックビルディングとは株式の新規上場時の公募価格の決定手法の1つのことを言います。投資家が発行価格決定に際しておこなわれる需要予測(ブックビルディング)に参加することで、価格が決定する方法です。

IPOの売り方の関連用語③「初値(はつね)」

初値は、新規公開株が証券取引所(金融商品取引所)に新規上場して「最初についた値段」のことをいいます。

IPOの売り方の関連用語④「公募割れ」

公募割れとは、企業が株式を新たに公開する際に証券会社が設定した公募価格よりも、初値が低くなってしまうことを言います。

IPOの売り方の関連用語⑤「セカンダリー投資」

セカンダリー投資とは、既に発行された証券の売買を行う場である「セカンダリーマーケット」において、株式を売買することを言います。

まとめ

投資家にとってIPOは大きな利益を出せるチャンスです。そのため、大きな企業がIPOを行う場合には非常に人気となります。結果として、IPOは応募しても確実に当選するわけではありません。当選するためには、戦略的に証券会社を選び、当選確率を高くしておく必要があります。

IPOに当選した後は、それをどのタイミングで売りに出すかが非常に重要です。売るタイミングの王道は上場直後ということになりますが、投資に自信があるのであれば、株価の上昇を狙って保持し続けることも可能です。

まずはきちんとIPOを理解した上で、投資をすることが大切です。

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