株価の値動きを予測するのに不可欠な要素の一つは「トレンドを把握する」ことです。そのための手がかりとなるテクニカル指標の一つとして、トレンドラインがあります。
トレンドラインを引くことによって、株の値動きの方向性が分かるようになるだけでなく、売買のタイミングも分かるようになります。
この記事では、そんなトレンドラインの役割から引き方までをまるごと解説していきます。この記事を読むことで、トレンドラインのすべてを知ることができます。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格
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トレンドラインの引き方とは
まずはトレンドラインとは何かについて明らかとしていきましょう。
トレンドラインとは
トレンドラインとはテクニカル指標の一つで、トレンドが明確に分かるようにするために引く補助線です。
相場が上昇トレンドにある時は、切り上がる「安値」と「安値」を結んで引き、また相場が下降トレンドにある時は、切り下がる「高値」と「高値」を結んで引くのが普通です。
トレンドラインが破られることを「ブレイク」と呼び、トレンドが反転する契機となります。トレンドラインは株だけでなく、FXや先物、商品先物、ビットコイン等の暗号通貨でも活用できます。
トレンドラインの役割とは
トレンドラインの基本的な役割は、相場のトレンドの方向性を確認することです。トレンドラインを見ることによって、トレンドの方向性(上昇トレンド、下降トレンド、もしくは横ばい)、トレンドの強弱、トレンドの持続性を確認することができます。
トレンドラインの機能とは
トレンドラインは、支持線・抵抗線にもなります。支持線とは、価格がその位置へ下落した時に反対方向(上昇方向)へ跳ね返すラインのことを言い、反対に、抵抗線とは価格がその位置へ上昇した時に反対方向(下落方向)へ跳ね返すラインのことを言います。
上昇トレンドラインは下落してきた時の支持線として、下降トレンドラインは上昇してきた時の抵抗線としての役割を担っています。
トレンドラインの引き方とは
トレンドラインは、相場の動きに応じて様々な引き方があります。ここで3つの相場の動き(①上昇トレンド、②下降トレンド、③横ばい(レンジ))に合わせたトレンドラインの引き方について説明していきます。
まず、株価が直近の高値と安値を切り上げながら上昇していくのが上昇トレンドです。常に高値と安値を切り上げる株価が成り立っている時、株価は「上昇トレンドを形成している」と言えます。
株価が、継続して上方向へ向かっているなら、ローソク足の安値同士を線で結びます。3点以上で線を結べない場合には、信頼性に欠けるトレンドラインとなるので注意しましょう。
重要なことは、始めの点をはっきりさせる(この点と決めたら動かさない)ことと、途中は多少の逸脱は気にしないことです。
以下のようにトレンドラインを引くと、上手にトレンドラインを引くことができます。
次に、株価が直近の高値と安値を切り下げながら下落していくことを下降トレンドと言います。
下降トレンドでは、下方向へ向かっているならローソク足の高値同士を線で結ぶことによってトレンドラインとするのが一般的です。
まずは2つ以上の高値を結びます。その後、前回の戻り安値を切り下がれば、下降トレンド入りとみなしてトレンドラインをひきます。下降トレンドの場合、価格がトレンドラインを下から上にブレイクするまでは、下降トレンドとみなします。
最後に、高値と高値、安値と安値がほぼ同水準で往来するのが横ばい(レンジ)相場です。相場の大半が、このような「もみあい」や「踊り場」といわれるトレンドのない局面となります。
横ばい局面でのトレンドラインの引き方は、まず、2点以上の高値を結び、同時に2点以上の安値を結びます。そうして出来上がった2つのトレンドライン(上値抵抗線と下値抵抗線)に価格が触れたら、それぞれ買い・売りのタイミングとみなします。
トレンドラインの引き方のポイントとは
トレンドラインの正しい引き方を理解していないと誤った線を引いてしまい、利益を取り損ねたり、大きな損失を被る可能性があります。
トレンドラインの引き方のポイントとなるのは以下の通りです。
①上昇トレンド中はトレンドラインを安値と安値を引く
②下降トレンド中はトレンドラインを高値と高値を引く
③最初のうちはトレンドラインを引きまくる
④短いトレンドラインも長いトレンドラインも両方使えるので、長短いろいろと引いてみる
⑤ローソク足の実体は実体、ヒゲはヒゲ、ときれいに揃えようとしないこと
⑥トレンドラインの引き方に迷ったらチャートがきれいに見える方を選ぶ)
①と②については前項で説明しました。しかし、最初のうちはどこを結んでトレンドラインとしたら良いのかがわからないことも多いと思います。そんなときは、③できるだけ多くのトレンドラインを引くようにしましょう。
④短いトレンドラインも長いトレンドラインも引いてみましょう。⑤ローソク足の実体は実体、ヒゲはヒゲ、ときれいに揃える必要はありません。まずはトレンドラインを引いてみて、チャートがきれいにみえるところがあったら、そこをトレンドラインとして取引を考えれば良いのです。
トレンドライン引き方の活用方法とは
トレンドラインの引き方がわかったら、次はどのようにそのトレンドラインを活用するか考えてみましょう。
トレンドライン引き方の活用方法:トレンドの強弱
トレンドラインを引いたときに、トレンドの傾きによってトレンドの強弱を判断することができます。傾きが急であればあるほど、強いトレンドであることがわかりますし、傾きが緩やかであるほど、弱いトレンドであることがわかります。
ただし、値動きの勢いが強ければ強いほどその方向へ向かう力は強くなり、トレンドラインの角度はより直角に近くなりますが、その分その流れは長続きしません。トレンドラインが急すぎる場合はそのトレンドの持続性は低いため、あまり機能しているとは言い難くなります。
同じように、トレンドラインの角度が緩いほど、その流れは継続しやすくなります。トレンドラインの傾きが緩やかな場合、上昇または下降速度が遅くなっており、トレンドラインがブレイクされ、横ばいやトレンドが反転する可能性が高くなるのです。
最も理想的なトレンドラインの傾きは45°とされています。トレンドラインにおける45°という角度が表すのは、価格と時間とが均衡を保ちながら上昇、下降していることを意味します。
トレンドライン引き方の活用方法:トレンドラインの持続性
トレンドラインがどの程度の期間続いているのかも、そのトレンドラインの重要度を決める上で大切です。トレンドラインを引いたときに長いトレンドラインが引ければ引けるほどトレンドラインの持続性は高いと言えます。
チャートには月足、週足、日足、4時間足、60分足、30分足、15分足など、さまざまな時間軸の足がありますが、上位足(時間足が長いもの)のトレンドラインほど、持続性のあるトレンドラインと言うことが可能です。
長い時間足のトレンドラインが破られた時は、主要トレンドの転換を示すものであるので、今後の展開を注視しなければなりません。
トレンドライン引き方の活用方法:エントリーポイント
トレンドラインをみれば、どこでエントリーしたら良いのかもわかります。
たとえば、上昇トレンドの場合には、始点と1点目を結んだ線上で、2点目以降の反発をとらえて買いでエントリーすることや、トレンドラインをブレイクしたら買いのポジション(持ち高)を決済することが定石の戦略となります。
このように、トレンドに逆らわずに投資をすることを順張りと良います。順張りで投資を行う場合、株の値動きの流れにそのまま乗っかって売買をするので、トレンドラインを引いて上昇なのか下降なのかを確認します。
トレンドが発生しているときは、トレンドの方向に株価が動きやすくなっていますが、一時的に下落する、あるいはトレンドが転換することもあります。
したがって、上昇トレンドのチャートを探し、下落せずに上昇が継続することが確認できた後にエントリーすることになります。
反対に、トレンドに逆らって投資をすることを逆張りと言います。逆張りでは、株の値動きとは逆方向でエントリーし、短期の値幅を狙いますので、トレンドが発生している相場よりもレンジ相場の方がエントリーしやすくなります。
レンジ相場のチャートを探し、下値支持線からの反発を確認してからエントリーするようにします。
実践!トレンドライン 引き方まとめ
最後にトレンドラインの引き方についてまとめておきましょう。
実践!トレンドライン 引き方:起点はどこにするのか?
トレンドラインを引くときにどこを起点にするのかは重要です。なぜなら、どこに起点をおくかによって、トレンドラインの引き方が全く変わってしまうからです。
基本的に、トレンドラインの起点は計測開始時点の最安値、または最高値から引くのが一般的です。
実践!トレンドライン 引き方:ヒゲを入れるのか?
トレンドラインは、基本的にはローソク足のヒゲの部分に沿って線を引くのが一般的です。ヒゲはその時の最高値と最安値を示していますので、ヒゲを無視しては、他のトレーダーと違うラインを引いてしまうことになります。
ただし、上下のヒゲによって表される高値と安値は、本来のローソク足の値動きから逸脱した水準であることを忘れてはなりません。実体からヒゲに引くパターンや、ヒゲから実体に引くパターンも有りえます。
基本的には、ヒゲを考慮してトレンドラインを引くことによって、最高値と最安値を基準にしてトレンドラインが引けるようになります。
実践!トレンドライン 引き方:トレンドの転換について
トレンドラインを割るということは、その速度でのトレンドが終了したことを意味し、その後はより緩やかなトレンドが継続する場合が多々あります。
価格が安値に近付くにつれて、売り手にとってはもう少し高い価格で売れるのではないかという心理が働き、売り手が売り注文を控えやすくなることがあります。
一方で、買い手にとっては少なくともこれまでの安値では買いたいという心理が働く中で、下落相場が次第に失速し始めると、過去の安値より少し高くても先に買いたいと考えることから、トレンドラインを割り込んだり、超えたりするとトレンドの転換となります。
つまり、一度トレンドラインが決まると、その先の価格に対しては割高感や割安感を伴うため相場に壁ができやすく、それが反転しやすい原因となります。
そのため、トレンドラインを割り込めば当然トレンドが転換することになります。
トレンドライン 引き方の関連用語とは
最後にトレンドラインの引き方と関連して覚えておきたい用語について解説していきましょう。
トレンドライン 引き方の関連用語①「ローソク足」
「ローソク」足には、1日、1週間、1ヶ月、1年間という期間中の、「始値(はじめね)・・・ 相場が始まった時の価格」「高値(たかね) ・・・ 期間中の高値」「安値(やすね) ・・・ 期間中の安値」「終値(おわりね)・・・ 相場が終わった時の価格」が示されています。
ローソク足をみることによって、その時系列に沿って株価がどのくらい上昇(下落)したのかが分かるようになります。
トレンドライン 引き方の関連用語②「実体」
ローソク足は、実体と上ヒゲ(うわひげ)、下ヒゲ(したひげ)の3つから成り立っています。始値と終値を四角で囲んだ部分を実体といい、陽線なら白か赤、陰線なら黒か青となるのが一般的です。
トレンドライン 引き方の関連用語③「ヒゲ」
ヒゲとはローソク足の実体の上下に伸びる線のことです。ローソク足が表す時間内(日足、週足、月足、年足があります)に株価が実際に到達した最高値や最安値を表します。
高値から実体に引いた線を上ヒゲ、安値から実体に引いた線を下ヒゲといいます。上ヒゲ、下ヒゲは上影、下影と呼ばれることもあります。
トレンドライン 引き方の関連用語④「オートマチック・トレンドライン」
オートマチック・トレンドラインとは、現状のトレンドラインを「オートマチック(自動的)」に作成することを言います。
自動でトレンドラインを引くことができますが、細かいパラメータについては自分で設定しなければなりません。この設定方法によって、トレンドラインの引き方が異なってくるので注意が必要です。
まとめ
トレンドラインは、チャート分析の中でも最も基本的な方法です。トレンドラインがきちんと引けるようになることは、投資初心者を抜け出すための第一歩です。
トレンドラインは非常によく使われるツールですが、トレンドラインを引いたからと言って、必ずそのようになるとは限りません。
トレンドラインを正しく引けるようになるまで練習を重ね、トレンドを見極める力を着実に身につけていきましょう。
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